またひとり、大好きな大人が亡くなりました。
伊集院 静 氏
とても色気のある大人の男性です。
色気のある男と書きたいのですが、
この年上の男性にはそのような生意気が言葉さえ使うことができません。
妻の篠ひろ子さんが、「最期まで自分の生き方を貫き通した人生」
と語ったように、
大人の男とはこうあるべきという強い信念のようなものがあった人です。
作家、伊集院静の著書は、多分、ほとんど読んでいると思う。
なかでも僕は 「渚ホテル」 という自伝的随想 が好きです。
人間の弱さ、温かさ、恩と義理、男とは、女とは、
とても暖かい気持ちになる本だった。
もちろん、大ベストセラー 「大人の流儀」 も
この手のエッセイが実はキライで最後まで読んだためしがないのです。
でも、伊集院静の 「大人の流儀」 は全て読んだ。
多分、僕が読んだエッセイは、伊集院静 と 伊丹十三 だけだと思う。
伊集院氏が通う銀座の焼き鳥屋、 「T政」
ここに行ったのも、大人の流儀に出てくるからだ。
いつか、T政のカウンターで調子にのっている僕が伊集院氏に
「この、バカモン!」って怒られるんだろうななんて勝手な想像までしていた。
銀座の街をキレイなお姉さまとさっそうと歩く姿も実にカッコよかった。
身体が大きく、キレイな女性と一緒だと絵になる男性だった。
愛犬 ノボ との時間を綴った 「君のいた時間」
読んでいる途中から大粒の涙がこぼれた
読むのが辛くなった。
その本には
別れが前提で過ごすのが、私たちの 「生」 なのかもしれない。
出逢えば、別れは、必ずやって来る。
それでも、出逢ったことが生きてきた証しであるならば、
別れることも生きた証しなのだろう。
と書いてある。
その通りだ。
「バカモン!」 の一言でもいい、
いつか同じカウンターで、あなたの話しを聞きたかった。
ご冥福をお祈りいたします。
Shinji Omiya.